｢邪魔するぞ」 そこへ颯爽と現れたのは卯月さんだった。 ｢動揺するなっていうのがまず無理だよな。和彦を探し出して30年前に何があったか口を割らせた。自分が人にした事はいつか自分に返ってくるもんだ。良いことも悪いことも全部だ」 ｢あの人は今どこにいるんですか？」 ｢自己破産し借金をチャラにしたとはいえ、詐欺容疑で訴えられているからな。元カノのところに潜伏している」 和彦さんの奥さんは僕に対する殺人未遂の現行犯で取り押さえられその後身柄を警察に引き渡されたと彼から聞いた。 ｢姉さん」 彼が結お姉さんに調査報告書を渡した。 ｢櫂さんとこれからどうするか一度話し合おう」 ｢その前に櫂に本物か偽者か聞かねぇとな。この際だ。白黒はっきりつけて、腹のなかで思っていることをすべて吐き出せ。結、きみは一人じゃない。和真や俺が付いている」 ｢ありがとう和真、卯月さん」 結お姉さんは一度目を閉じ深く深呼吸してから調査報告書に目を通した。