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櫂さんの哀しい過去

「そんなに警戒しなくてもいいのにな。和真もなかなか面白い」 「ハチ、いじめるとかわいそうだ」 「いじめてない。これもスキンシップだ」 「なるほど。スキンシップか。じゃあ、俺も和真と遊んで仲良くする」 「止せ。ヤスに焼きもちを妬かれるだけだ」 「ヤスは四季ラブだ。和真は目にない」 妙に噛み合わない二人の会話に、結お姉さんは何度も吹き出しそうになって、食事どころではなかった。 彼も生きた心地がしなかったと思う。オムライスを右手で食べながら、常に左手で耳をガードしていた。 「青空さん、パフェそれでよっつめだよね?」 「いや、5個目だ」 「え~~もうそんなに食べたの。四季くん、私たちも負けてらんないよ」 結お姉さんが取り皿にフルーツとアイスを取り分けてくれた。 「そんなに食べれないよ」 「何言ってるの。デザートは別腹でしょう」 アイスを一口分スプーンで掬い口にそっと運んだ。 「あ、美味しい。アイス久し振りに食べたかも知れない」 ささやかな幸福感を噛み締めた。

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