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櫂さんの哀しい過去
「空元気だ。明るく振る舞っていないと精神的に参ってしまうからな」
ファミレスからショッピングエリアに移動し、青空さんの新しいタンクトップを買うためにお店に寄った。青空さんは身長が高いし、全身に髑髏の刺青を入れているからどこにいてもすぐ青空さんって分かる。彼と蜂谷さんは並んで立つとそれだけで絵になるから、余計に目立つ。他のお客さんが僕たちをチラチラと見ているのは分かったけど、青空さんに「見るんじゃない」と無言の圧力をかけられギクッとして慌てて顔を逸らしていた。
「四季、重くないか?」
「うん、大丈夫だよ」
狭い店内には思ったよりお客さんがたくさんいて、膝の上にかごを乗せ、出入り口付近で待つことにした。上を見上げると彼に着せてあげたいカジュアルな服がたくさん並んでいた。
「四季くん、これ男性用ブラジャーだって。色もピンクで可愛いわよ。お揃いの色のショーツもあるわよ。しかも見てよ、すけすけなのよ」
結お姉さんが僕の顔の前でひらひらと揺らした。
「ちょ、ちょっと結お姉さん」
顔から火が出るくらい恥ずかしかった。
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