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櫂さんの哀しい過去

「格好のネタだ。そりゃあ喜んで飛び付くだろう」 「ふ~~ん」 「ほっとくのが一番だ」 ちらちらと外の様子を伺っていた青空さんに蜂谷さんが歩み寄り声を掛けた。 「ハチ」 「ん?」 「一回いいか?」 「何をだ?」 青空さんが蜂谷さんのネクタイをほどくと、結び直しはじめた。 「一度やりたかった。なかなか難しいな」 青空さんが蜂谷さんの首もとに顔を寄せた。 「青空。顔が近い」 「へぇ~~こんなところにほくろがある」 「ほくろはいいからネクタイを早く結んでくれ」 蜂谷さんが青空さんにネクタイの結び方をいちから教えてあげていると、ヤスさんが入ってきた。 「朝からあの二人はいちゃついているのか?この状況下で、たいしたもんだな」 やれやれとため息をつくと、手にしていた新聞を机の上にぽんと置いた。

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