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偽物

「ハチ、気付いたか?」 「あぁ」 「髪の生え際、眉毛の下、目立たない場所に小さな傷痕があった」 「あれは若林じゃない」 「あの、すみません。若林さんじゃないって一体どういうことですか?」 近寄りがたいオーラをめらめらと燃やす二人。びくびくしながらそぉーと声を掛けた。 「若林は昨日まで鼻に絆創膏を貼っていたんだ。そのあとがない。今朝も玄関でつまずいておでこにたんこぶが出来たって宋が言っていた。さっきの男は若林の偽者だ。和真には若いのが付いている。今のところなんの連絡もない」 卯月さんが片手でスマホを操作した。 「騙されてみるのもなんか楽しそう」 「あのな、青空」 「犯人の手がかりを掴めるチャンスだ。逃す手はない」 青空さんがふふっと不敵な笑みを浮かべた。

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