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慶悟先輩
「本当に脱ぐヤツがいるか」
「だってこうもしないと、誰も信じてくれないでしょう?学校で金が失くなれば、真っ先に疑われるのはいつも俺だった」
彼が必死でたもくんを説得し止めさせようとしたけど、たもくんは一度言い出したら聞かない頑固者だ。一筋縄ではいかない。
「岩水まで千里みたくストリップショーをはじめたのか?止めろとは言わないが、ここじゃあムードがなさすぎるだろう?」
次に現れたのは未知さんに心底惚れ込んでいる弾よけの弓削さんだった。
「ブライドを下ろせ。外にはマスコミとサツがまだいる。公然わいせつ罪の現行犯で逮捕されるぞ」
弓削さんが床に散らばったシャツと作業服を拾い上げると手で汚れを払い、たもくんに差し出した。
「身体中に引っ掻き傷の痕があるのが何よりの証拠だ。岩水、どうかマリを悪く思わないでくれ」
「櫂さんの偽者だけじゃなく、若林さんの偽者まで現れて、疑心暗鬼になるのも当然です。俺のほうこそすみません」
たもくんが服を受け取ろうとしたら、
「ちょっと待った!」
がたん、と勢いよくドアが開いた。
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