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慶悟先輩

「弓削さん、たもは予約済みですから。あしからず。たも、帰るぞ」 「ちょっと待って下さい先輩」 有無言わさずたもくんを強制的に連れて行ってしまった。 「記者会見を見て、ヤツは岩水の母親が殺されていたことを初めて知ったらしい。岩水をキヨから守れるのは自分しかいない。でもキヨの後ろにいるのは宇賀神組だ。だからヤツはヤクザになりたいと、オヤジに頼み込んだ」 「住み込みの見習いの癖に、口だけは一丁前だ。困ったもんだな」 「ヤスさん、鞠家さん、キヨちゃんはその……」 元気でいればそれでいい。そう思いながら二人に恐る恐る聞いてみた。 「俺たちより和真のほうが詳しい。体調が悪いと言えば、嫌な顔ひとつせず子守りも家事も炊事もしてくれる。黙って愛されいればいいのに。何が不満なんだか。女の心は猫の目とはよく言ったもんだ」

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