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慶悟先輩

「宇賀神組の渋川さんが組長に直談判してくれて。やむを得ない場合は赤ん坊同伴で出社可。真山さんと橋本さん……喜代子さんだったね。組を上げて新米パパとママの二人を応援しようとしたんだけど、喜代子さんは和彦さんと同じだから。心を入れ替えて聡太くんと真山さんと三人、幸せな家庭を築いて欲しかった」 彼が悔しそうに上唇を噛み締めた。 「橋本は子どもと旦那を置き去りにし姿をくらました。朝、起きたら布団がもぬけの殻だった。橋本を監視していた真山の弟分も一緒にいなくなった。おそらく駆け落ちをしたんだろう。宇賀神組は手配書を出し、ふたりの行方を探している」 「僕、何も知らなかった。櫂さんのこともだけど、キヨちゃんのことも」 「赤ちゃんを授かり、いきなり二児の母親になったんだ。毎日子どもたちの世話に追われて他のことを考える余裕なんてなかったと思う。俺も四季と同じだ。自分で自分を責めちゃ駄目だ」 大きな手が髪を撫でてくれた。

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