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慶悟先輩
噂をすれば影が射す。
真山さんから菱沼金融に電話が掛かってきた。
ー 弓削、蜂谷、K市内の総合病院の待合室で銃を持った男が車椅子の女性を人質に立てこもっている。情報筋によると銃を持った男は恐らくキヨと駆け落ちした俺の舎弟、フジヤだろう。人質の女性は四季だと思うー
「真山ごめん、それは多分青空だ」
ーは? ー
状況を呑み込めないのも無理がない。
「青空は犯人を泳がせるためにわざと人質になったんだろう。防弾チョッキを着せておいて良かった」
「真山、舎弟をさっさと説得して投降させろ」
ーそれが出来るならこっちだってこんなに苦労はしていないー
「となるとクスリでラリっているのか?」
ー十中八九間違いないー
「たく厄介ごとばかり持ち込みやがって。この借りは大きいぞ」
ー腹踊りでも、そっちでタダ働きでもなんでもする。俺はただキヨの居場所が知りたいだけだ。弓削、蜂谷、フジヤを助けてくれー
「分かった。現場に柚原と宋が病院スタッフとして潜り込んでいる。連絡を取ってみる。任せておけ」
ーありがとうー
電話越しに聡太くんの泣き声が聞こえてきた。
ー聡太が起きたみたいだ。またあとで連絡するー
電話が一方的に切れた。
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