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慶悟先輩
「しー」
唇に彼の人差し指がそっと触れてきた。
「姉さんを起こさないように静かにしないといけないのは分かるんだけどね。四季が腕の中にいるだけで、ドキドキが止まらなくなる。どうも調子が狂うんだ。俺は悪くないぞ。きみが可愛すぎるのが悪いんだ」
「えぇ~なんで僕?」
見つめ合うと、どちらからともなくぷぷっと笑みが溢れた。
「愛しているよ四季」
「うん、僕も……」
囁き合い、そのままゆっくりと唇を重ねながら、僕はこれ以上ない幸せを感じながら眠りに落ちていった。
「よ、四季。ずいぶんと早い出勤だな」
蜂谷さんと青空さんたちのことが心配で朝の四時前には目が覚めてしまった。
彼を起こさないようにベットから抜け出し廊下に出ると、ヤスさんから二人は菱沼金融にいると聞いてすぐ向かった。ドアを静かに押して、そぉーとなかを覗き込んだ。
蜂谷さんは青空さんの膝枕で横になりすやすやと眠っているようだった。
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