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慶悟先輩
「フジヤは四季の偽者だと知るやいなや物に当たり散らし暴力的になった。しまいには火を付けて人質を道連れに死のうとした。だから、悪いと思ったがおねんねしてもらった。柚原はカッコいい。すげえ男だ」
寝ているはずの蜂谷さんの眉間にどんどん皺が寄っていった。しまいにはふて腐れ、ぷいっとそっぽを向いた。
「まるでガキだな。餅は焼いても、焼きもちは妬くな。オヤジに言われなかったか?」
「そのオヤジが焼きもち妬きなんだ。なんの説得力もないと思わないか?」
蜂谷さんがむくっと起き上がろうとしたら、
「寝てろ。俺以外の野郎の膝の上で寝るつもりだろうが、それは許さない」
青空さんがむっとして止めた。
「やっぱり二人は相思相愛ですね。ラブラブで羨ましいです。邪魔はしませんのでゆっくり寝てください。おやすみなさい」
ぺこりと頭を下げて、片手で心春を抱っこし、片手でハンドリムをこいで菱沼金融を出ようとしたら、誰かにぶつかった。
「ごめんなさい。下ばかり見てて気付かなくて………」
顔を上げた僕はあっと息を飲んだ。
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