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二人の真山さん

「聡太、パパっておいで」 真山さんが両手を広げると、聡太くんは卯月さんの服をぎゅっと握り締め、真山さんをじっーと見つめた。 「聡太はな、喋れないから泣いて訴えるしか出来ないんだ。お腹がすいた、オムツが濡れてて気持ち悪い、抱っこしてほしい、笑いながらたくさん話し掛けてほしい。他にもまだまだあるぞ。鳥飼が預かっている子は、母親からのネグレストで笑わない、泣かない子になってしまった。喜怒哀楽がない子になってしまった。聡太にはそうなって欲しくない。両親の愛情をたくさん受けて、すくすく元気に育って欲しい。切実にそう願っている。血の繋がりなんて関係ないんだよ。俺や裕貴や縣兄弟を見てきたお前なら一番分かっているはずだ。聡太を守れるのは父親である真山、お前しかいないんだ」 ヤスさんが粉ミルクに毒物が混入している可能性があること。鑑定を依頼したことを真山さんに包み隠さず伝えると、 「やっぱりそうだったんだ」 真山さんががっくりと肩を落とし力なく項垂れた。

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