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二人の真山さん

「結お姉さんはどこにいるんですか?」 「どうした四季?」 「嫌な予感がしてならないの。フジヤさんがキヨちゃんに僕の格好をした青空さんの写真をもし送信していたとしたら、別人だってすぐに気付くはず。同じ手は通用しない」 一緒にいた時間が長いから、たもくんやキヨちゃんは、僕が考えていることなどすべてお見通しだ。僕より僕を知っている。 「結は、覃と宋と一緒だ。二人に預けること自体かなり心配だったんだが……あ、でも、運転手は壱だ。変なところに連れていかないとは思うが」 卯月さんが聡太くんを抱っこしたままスマホを耳にあてた。聡太くんはパパが目の前にいるのに、なぜかずっと卯月さんの服にしがみついたまま離れようとはしなかった。 「昨日オープンした食べ放題の店に連れていったみたいだ。覃と宋が交代で紬の子守りをしているらしい。念のため応援部隊を向かわせよう」 スマホを胸の内ポケットにしまった卯月さん。聡太くんの頭を岩みたいな大きな手でそっと撫でると、真山さんをじろりと険しい表情で睨み付けた。

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