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二人の真山さん

「お前は誰だ?」 「俺は真山だよ。聡太、パパっておいで。うちに帰ろうな」 真山さんが卯月さんから聡太くんを無理矢理引き離そうと力いっぱい引っ張った。 ウギャアーー!!! 聡太くんが悲鳴をあげ、大きな声で泣き出した。 ーてめぇー、俺の息子に何すんだ‼ー 受話器から聞こえてきた声が、紛れもなく真山さんのものだったから驚いた。 「本物は結と一緒にいるぞ。俺たちに弁当を差し入れするために、たまたま偶然同じ店にいたみたいだ。もう一度聞く。お前は誰だ?」 ヤスさんが車椅子を押して廊下に出ると、事務所のドアをバタンと閉めた。 「ここは危ない。和真、行くぞ」 「あ、は、はい」 卯月さんから聡太くんを預かった彼が慌てて追い掛けてきた。 「真山の手下となるべく目を合わせんな。多勢に無勢。数の上では俺たちのほうが圧倒的に優勢だが、何を考えているか分からない連中ばかりだ」 エレベーターに向かうのかと思ったらふわりと体が宙に浮いて、気付いたときにはヤスさんにお姫様抱っこされていた。 「しっかりしがみついていろ。トモ、悪いが車椅子を頼む」 若い舎弟さんに頼むと足元に注意しながら非常用階段をゆっくりと下りはじめた。

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