142 / 431
二人の真山さん
彼に抱っこされている聡太くんを見付けるなり心春は頬っぺたをこれでもかと膨らませた。
「これには深い理由があるんだ。頼むから怒らないで欲しい」
彼が慌てて心春に説明していると、
「一丁前に焼きもちを妬くようになったか」
ヤスさんがゲラゲラと笑い出した。
「笑い事じゃありませんよ」
「親と子の信頼関係がしっかり築かれているからいやいや期があるんだって話しを聞いたことないか?」
「いえ、はじめて聞きました」
「和真と四季が自分の親になってくれた。円花と同じように可愛がってくれるし、面倒をみてくれる。心春が二人を信用している証拠だ。ただな、最近心配事が出てきたんだよな?」
心春が小さく頷いた。
「心配事?」
「ベビカズが生まれたら手のひらを返したようにいらないと言われないか、不安でしょうがないんだよな?」
「うん」
「いらないっていう訳ないだろう。ヤスさん、聡太くんをお願いします」
「おぅ、任せておけ」
ヤスさんに聡太くんを抱っこしてもらい、心春を両手で抱き上げた。
「心春、まーちゃんは?」
「あっち!ぱぱたんといっちょ」
指を指したほうを見ると、柚原さんに抱っこされ円花が姿を現した。
良かった。二人とも無事で………。元気な顔を見ることが出来てほっとし胸を撫で下ろすと涙が溢れた。
ともだちにシェアしよう!