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二人の真山さん

「どうしても解せないのは、いかにも見つけて下さいと言わんばかりの場所から薬物が見付かったことだ。しかも誰の指紋もついていない。どう考えてもおかしいだろう?」 「卯月さんのおっしゃる通りです」 彼と卯月さんはお酒を飲まないから、ペットボトルのお茶を飲みながら、膝を突き合わせて話し込んでいた。 「喜代子さんは十歳のときに自宅に放火し、母親と交際相手を殺しています。当時の警察は事故として処理しています」 「円谷はスキャンダルになるのを恐れ、サツとグルになり真実を闇に葬ったんだろう。橋本の人となりを紐解く鍵はそこにあるかも知れないな。調べてみる価値はありそうだな」 「雄士さんが櫂さんと手分けして養護施設の卒園生数人から話しを聞いています。なにか手がかりが掴めればいいんですが」 「そうだな。今ならまだ引き返せるし、やり直せるチャンスだってある。聡太には母親が必要だからな」 卯月さんがまわりにいた舎弟さんたちに当時の新聞記事を大至急探すように頼んでくれた。

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