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発端

「弓削は10代でヤクザになったからか、犯罪の匂いをかぎ分けることが出来る。人を見る目もスバ抜けて群を抜いている。柚原を見付けたのも弓削だ。俺や鞠家にデカを辞めてヤクザにならないかとオヤジより先に声を掛けてきたのも弓削だった」 蜂谷さんが僕をちらっと見た。 「姐さんといい、四季といい、薄着でいるんだから。なにか、羽織るもの。暗いから、灯りをつけるぞ」 リモコンを操作し証明をつけてくれた。 「和真はこんなに暗いのによくまぁ、オムツと着替えを手探りで見付けたものだな。感心する」 「ハチ、探し物はこれか?」 青空さんが戻ってきた。 「半纏か。これなら暖かい。ありがとう青空」 蜂谷さんが青空さんから半纏を受け取ると、肩に羽織らせてくれた。 「きみと結をすぐに保護してくれとオヤジに最初に頼んだのも実は弓削だったんだ」 「え?」 意外な答えが返ってきたから驚いた。 「とうの本人たちは気付いていないが、二人は重要な鍵を持っている。もしかしたら教団と黒竜に致命傷を与えられるかも知れない。弓削はそう断言した。だから、オヤジはきみと結を守るため、俺と青空とヤスを弾よけにつけた」 「僕は教団も黒竜もあまりよく知りません。急に、重要な鍵を持っているって言われても、あの………」 にわかには信じられないことを言われ頭がパニックになった。

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