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発端

「あくまで例えばの話しだーー聞き流してもらって構わない。四季と四季の両親が巻き込まれたバス事故、偶然に起きた事故じゃなく、最初から仕組まれていた事故だとしたら?」 蜂谷さんが真剣な眼差しを僕に向けた。 「副島親子にきみの両親について聞いた。征之さんが言うには旅行が好きで、国内外問わず色々なところに出掛けていたみたいだ。四季、両親からこころやすらぎという名前の宗教団体のことを聞いたことがあるか?」 「こころ……やすらぎ?」 はじめて聞く名前だった。 「こころやすらぎはシェドと合流し、教祖の男は日本支部・支部長をしている。この男の顔に見覚えはないか?」 蜂谷さんがスマホを操作して写真を見せてくれた。 気のせいかも知れないけど、目と鼻のあたりがヤスさんによく似ていた。 「聖人君子面して中身はどんでもない悪党だ」 「蜂谷さん、この人、ヤスさんに似ているような、そんな気がするんですが………」 「当たり前だ。二人は実の親子だ」 「え?」 一瞬何を言われたか分からなくて。理解するまで少し時間がかかった。

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