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僕の両親とコオお兄ちゃんの両親

「熊は白猫を悪者から守るため、山を下り、仲間たちが住む町で暮らしはじめたが白猫は怯えてばかりいて、部屋にずっと籠りきりだった。悪者にマインドコントロールされ、外の世界には人をたぶらかす悪い鬼がいる。地獄に落ちると教えられ、白猫はそれを信じていた」 「卯月さん、仲間って……」 「副島夫婦のことだ。征之は新聞記者で、白猫のマインドコントロールを解くために腐心し、まこは白猫の傷ついた心にそっと寄り添り、そして支えた。これで紙芝居は終わりな」 「卯月さん、待って下さい。最後の一枚が見たいです」 「絵が下手だし、恥ずかしいから駄目だ」 「オヤジ、見せてやったらどうですか?四季にどうしても見せてやりたい、寝る暇も惜しんで描いてたじゃないですか」 弓削さんに言われ、渋々ながらも最後の一枚をめくってくれた。 「お宮参りは赤ん坊が生まれてはじめての大きなイベントだ。うちの子どもたちのお宮参りのときも写真を撮りまくったんだ。それを参考にして描いてみた。笑いたければ笑っていいぞ」 「笑うなんてそんな失礼なことは出来ません」 慌てて首を振った。 「征之に聞いたら、きみのお母さんは写真に撮られるのが大嫌いだった。想像することくらいしか出来ないが、一枚くらい家族写真があってもいいだろう」

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