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二つの顔を持つ殺し屋
「南先生、あ、あの………」
「未知さんのときもいろいろあったの。だから、大丈夫よ。毎日、日替わりでイケメンの顔が拝めるのよ、これほど嬉しいことはないわ。やだ、もぅ。そんなに見つめないで。これでも人妻なのよ」
青空さんとヤスさんに見つめられ、南先生が頬に手をあてて、キュンキュンしていた。
「四季が退院するまで24時間付き添うーーでいいですね?」
「いいわよ。ただし、他の患者さんの迷惑にだけはならないように注意してね。初めての出産を迎える妊婦さんを不安がらせないで欲しいの」
「分かりました。肝に銘じます。先生、何か、俺の顔に付いてますか?」
「やっぱり似てる」
穴が空くほどヤスさんの顔をじっと見つめたのち南先生がぽつりと呟いた。
「誰にですか?」
「防犯カメラに映っていた男にヤスさんがよく似てるのよ」
「どういうことですか?話しが見えないんですが……」
「一週間間くらい前かな?道端にうずくまっていた女性を保護した。救急車を至急呼んで欲しいと男性二人組が来たの。慌てる素振りもなく怖いくらい落ち着いていて、逆にそれが怖かったって応対した、受付の荒木さんと高橋さんが話していたわ。救急車を手配し、主人が看護師のまきさんを連れて行ったんだけど、男性二人組の姿はどこにもなくて。すでに虫の息になっていた若い女性が倒れていたのよ」
当時のことを南先生が話してくれた。
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