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二人の顔を持つ殺し屋

「診察を終えて待合室に戻ると、子どもが他の子どもとおもちゃの貸し借りでトラブルになっているのに、夫は見て見ぬふり。誰かと楽しそうに電話で話しをしていることに腹を立てたみたいだ。そのまま掴み合いの喧嘩になってね。大変だったんだ。ヤスさん、立てますか?手を貸しますか?」 「その気持ちだけありがたく受け取るよ。なんのこれしき。どうってことない」 「やっぱり手を怪我していますね。看護師を呼びますね」 永原先生が携帯で連絡すると看護師がすぐに来てくれて。応急措置をしてくれた。 「先生、瀧田さんの携帯どうしますか?」 看護師が永原先生に黒い携帯を渡した。 「夫から取り上げて、怒りに任せて床に叩き付けたから、画面がヒビ割れてしまったんだ。心配しなくてもすぐに取りに来るだろう。今の若いひとは携帯がないと生活が出来ないからね」 永原先生がポケットに入れようとしたら、 「それ、色が違う。見るだけは駄目か?」 青空さんが手をすっと差し出した。

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