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二人の顔を持つ殺し屋
「何?椎根だと」
蜂谷さんと弓削さんの声が見事にハモった。
「知り合いなんですか?」
「知り合いもなにもとんでもないヤクだ」
「和彦のヤツ、椎根から金を借りてないよな」
不安を口にした。
「亜優、ハッカーに攻撃され流出した椎根金融の顧客リストあったよな?削除したか?」
紗智さんが通訳すると、
「消してないって」
「顧客に朝宮和彦がいないか大至急調べてくれ」
「分かったって。任せてって」
紗智さんが亜優さんの代わりに返事をした。
「和彦は父親だが、親子の縁はすでに切ってある。それでも返済義務があるのか?」
「そもそも闇金自体が法律違反だ。返済義務はないが、和真のところに和彦が借りた金を返してくれない。困っているんですよ。そう連絡をするかも知れない」
「和真に相手にしないようにと連絡しないなとな」
弓削さんがスマホを耳にあてた。
「弓削さん、亜優がね、若林って、若林さんの親戚とかじゃないよね?そう聞いているんだけど?あれ?電話中だった。蜂谷さん、この人なんだけど」
紗智さんがパソコンの画面を指差した。
「これだって言われてもな。どれだ?」
「この人だよ」
蜂谷さんがしばらくの間画面を凝視していた。
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