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僕のお兄ちゃん
「通りの真ん中でドンパチをおっぱじめるとはな。正気の沙汰じゃない」
ヤスさんは怖いくらい落ち着いていた。
「四季は見ないほうがいい」
彼がカーテンをさっとひいた。
「ガサ入れどころじゃないな。佐治、ムネ、混乱に乗じて鼠が紛れ込む可能性もなきしもあらずだ。心して警戒にあたれ!」
スマホで佐治さんらに檄をとばすヤスさん。
「パパ、ママ、こわい」
ひっきりなしに鳴り響くサイレンの音に寝るにも寝れなくなってしまった心春と円花。心春はサイレンの音が怖くて、指を咥えて彼にぎゅっとしがみついていた。
本当のママである夕貴さんが亡くなった日のことがフラッシュバックしたんだと思う。
ごめんね心春。
怖い目にばかり遇わせてしまって。
一方の円花は目を擦りながら、ぐすって泣いてばかりいた。どんなにあやしても泣き止んでくれなくて。途方に暮れていたら、
「サツが引き上げたら、柚原が来てくれる。それまでの辛抱だ」
ヤスさんと青空さんが心配してくれて。声を掛けてくれた。
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