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僕のお兄ちゃん
ガサ入れは朝八時十分。登校時間を避けて、始業時間にタイミングを合わせた。同時に瀧田さんの交際相手の自宅や関係先にも一斉にガサ入れが入る。
昴さんは、弓削さんから連絡をもらった渡辺さんと警察が監禁されていた教団の関連施設に強行突入し無事に保護された。怪我をしていて、そのまま病院に緊急搬送された。
軽傷だ。命に別状はない、安心しろ。コオお兄ちゃんからついさっき連絡をもらいほっとして胸を撫で下ろしたところだ。
「和真さん気をつけてね」
「ありがとう四季」
何かあってからでは遅いと卯月さんが心配してくれて、しばらくの間、鞠家さんが彼を会社まで送り迎えすることになった。
「オヤジの心配性と過保護は昔からだ。監視されているようで嫌かも知れないが、念には念をだ」
「分かっています。鞠家さんも忙しいのに……」
「ちょっと待った。和真、他人行儀はなし。だからいちいち謝る必要はない。オヤジに言われたはずだ」
鞠家さんがくるっと後ろを向いた。
「するなら早くしろ」
「あ、でも……」
「今さら恥ずかしがってどうするんだ」
「では遠慮なく」
彼の手が肩にそっと回ってきて。おでこに行ってきますのキスをされた。
「なるべく早く帰ってくるから留守番を頼む。もしなにかあったら鞠家さんとヤスさんに言うように、いいね」
腰を屈んで顔を覗き込まれ、うんと頷くと、ご褒美と言わんばかりに鼻先にもチュッと軽くキスをされた。朝からドキドキして、ぼおっと頬がほてり、一気に心拍数が跳ね上がった。
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