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僕のお兄ちゃん
「四季、副島がきみに会いに来ているぞ」
ヤスお兄ちゃんがわざわざ呼びに来てくれた。
「円花はみてるから会ってきたらどうだ?彼氏も一緒だ」
寒くもないのに一瞬だけ背筋が寒くなった。
「決してコオお兄ちゃんや昴さんを疑う訳じゃないけど、若林さんや真山さんに成り済ましたことがあるから……だから心配で……」
「分かった」
ヤスお兄ちゃんがスマホを取り出すと、片手で何やら操作をはじめた。
「四季、昴のことについて聞かせてくれ。変わったところに黒子があるとか痣があるとか、何かないか?」
「急に聞かれても………あ、そうだ。関係ないかも知れないけど、三日くらい前かな?指輪を嵌めている指にいぼが出来たみたいだって、和真さんがコオお兄ちゃんから聞いたみたいです」
「そうか分かった」
ヤスお兄ちゃんがスマホで何かを調べはじめた。
「突拍子もないことだが、睡眠術で他人の心を操れるか。それを調べていた。四季、少し待っててくれないか?」
ヤスお兄ちゃんはそう言うと菱沼金融に急いで向かった。
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