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僕のお兄ちゃん
「ヤスお兄ちゃん遅いね。何かあったのかな?」
泣きぐずる円花をあやしながら、何度も時計に目をやった。ヤスお兄ちゃんが菱沼金融に向かってから一時間も経つのに何も連絡がなかった。だから余計に心配で心が落ち着かなかった。
「四季」蜂谷さんが様子を見に来てくれた。
「どうした円花。ご機嫌斜めか?廊下まで元気な泣き声が聞こえていたぞ」
円花の顔を覗き込むと頭を優しく撫でてくれた。
「ヤスお兄ちゃん……じゃなくてヤスさんだ。腰が痛いのに大丈夫かなって。心配で……コオお兄ちゃんからも連絡がなくて、それで心配で……」
「四季、ヤスのことはヤスお兄ちゃんでいい。鞠家と弓削も一緒だから大丈夫だ」
「僕のせいで、若林さんや真山さんだけじゃなく、昴さんまで巻き込んでしまったとしたら、コオお兄ちゃんに申し訳なくて」
肩を落とし項垂れると、円花が口をへの字に曲げて大きな声で泣き出した。
「ごめんね円花」
「ママの悲しむ顔は誰だって見たくない。おじちゃんっておいで。たいくんたちに会ってくるか?」
蜂谷さんが円花を抱き上げようとしたら、
「え?いつからいたんだ?」
蜂谷さんが驚くのも無理がない。だって何気に後ろを見たら橘さんが立っていたんだもの。僕も腰を抜かすくらいびっくりした。
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