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慶悟先輩がずっと隠してきたこと

「自分だけ何も知らないことがどれだけ辛いか……慶悟先輩なら分かると思います。知らぬが仏という言葉がありますが、四季には真実を伝えるべきです」 たもくんに説得されて慶悟先輩が重い口を開いた。 「橋本の母親の内縁の夫が四季のことを嗅ぎ回っていたんだ。ガキなりにも変だって思って、一回あとをつけたことがある」 「もしかして海堂と会っていたのか?」 蜂谷さんに聞かれ、慶悟先輩が大きく頷いた。 「当時は誰だか分からなかった。でも、最近になってやたらとテレビに出るようになったから、あの時の男だってすぐに思い出すことが出来た」 「慶悟先輩はキヨと再会した後、それとなく監視して、四季をずっと見守っていたんだ。キヨの取り巻き連中が四季に近付くものなら真山先輩と一緒にガンを飛ばして蹴散らしていたみたいだ。四季に放火魔の濡れ衣を着せた連中が誰かもすぐに突き止めて、事実を隠蔽するなら出るとこに出ると園長先生を脅したのも慶悟先輩だ。俺も昨日そのことを初めて知った」 「そんな……全然気付かなかった」 はじめて知ることばかりで頭が追い付いて行かなくて。パニックになりそうだった。

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