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出来ればこんな形で会いたくなかったのに
キヨちゃんはたもくんを見付けるなり、
「ねぇ、たも、助けてよ~~」
猫撫で声を出した。
たもくんはキヨちゃんを一切見なかった。
「たも、なんで無視するのよ」
思い通りにならなくて、キヨちゃんが苛立ちはじめた。
「キヨ、ごめん。俺、付き合っている人がいるんだ」
「冗談でしょう?」
「冗談でこんなことが言えるか」
たもくんが慶悟先輩の手に自分の手を重ねると、慶悟先輩はにっこりと微笑みそっと握り返した。二人の手にはお揃いの指輪がキラキラと輝いていた。
「たもってもしかしてゲイだったの?あ、そうか。気色悪い男がもともと好きだったんだもんね」
「橋本、口を慎め。四季はオヤジの大事な身内だ」
慶悟先輩が静かに口を開いた。
「はぁ?何様のつもり?この私を誰だと思ってんのよ」
「俺の愛する保を不幸にした女……だろう?」
慶悟先輩がキヨちゃんを睨み付けた。
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