221 / 431

真山さんの決意

真山さんも一緒だったから驚いた。 「なんで?」 「そんなに驚くことでもあるまい。キヨに会ったら、俺と聡太のことは忘れて、シェドと幸せになってくれ。そう伝えるつもりでいたんだ」 「だって真山さん、キヨちゃんのことあんなに愛していたのに」 「キヨは俺を必要としていない。でも聡太は俺を必要としてくれる。キヨはもう手の届かないところへ行ってしまった。俺には聡太と蜂谷さん夫婦と未知と四季がいればそれでいい」 「へ?僕?」 思わず変な声が出てしまい、慌てて口を手で覆った。 「卯月の兄貴と盃を交わすことにした。これからは菱沼組の構成員として、未知と四季を守ることにした」 「カタギになるんじゃなかったのか?」 蜂谷さんが声を掛けた。 「半分ヤクザ、半分ペンションの手伝い。これが一番性にあっている」 「そうか。お前がそう決めたなら反対はしない。子育てしながら、二足のわらじはなかなか大変だぞ」 「蜂谷さん夫婦がなんでも相談してくれと言ってくれた。頼っていいとも。蜂谷、きみの両親は俺と聡太を救ってくれた恩人だ。引き合わせてくれて感謝する」 真山さんが蜂谷さんに深々と頭を下げた。

ともだちにシェアしよう!