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チカさんのダーリン
「ぱぱたんと弓削がいるのに、おじちゃんと遊びたいのか。おじちゃん嬉しくて涙が出てたぞ」
国井さんがずずっと鼻を啜った。
「話しは一旦中断する。十分待ってくれ」
国井さんが足取りも軽くふたりのところに行ってしまった。何事かと円花が目を丸くして見ていた。
「何をしているんだが」
チカさんがため息をつきながら苦笑いをしていた。
「あ、そうだ。すっかり忘れていたんだけど、城と宋は無事よ。城はつくづく悪運の強い男ね。宋はさすがは地竜の右腕。二人ともただでは起きないわ」
宋さんと城さんが無事と聞いてほっとし胸を撫で下ろした。
「城は退職願を出していたの。この一件で受理されて望み通り依願退職になるわ。まずは治療が優先だろうけど」
「あの、チカさん。海堂が失脚しても、若井さんが逮捕されても、四季と凛はこれらも命を狙われるんですか?」
「なかなかいい質問ね」
チカさんが彼をじっと見つめた。
「どっちに転ぶか、いまはなんとも言えない。しばらく様子見だ。オヤジがそう言っていた」
弓削さんが彼の隣に腰を下ろした。
「格好の獲物にはかわりないからな。連中はそう簡単には諦めるとは思えない」
その言葉に背筋が凍るくらいの恐怖を感じた。
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