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チカさんのダーリン
「瀧田が記者会見をしている」
ヤスさんがいててと腰に手をあてながら姿を見せると、リモコンを操作しテレビの電源を入れた。
「公安から要注意人物としてマークされているのを知ってか知らずか海堂さんと袂を分かち、新たな宗教団体を立ち上げたみたいだ」
「きらくんのことは心配じゃないのかな……」
無意識のうちに本音がつい漏れてしまった。
何者かに連れ去れたきらくん。卯月さんが犯人だとする根も葉もないデマが一時拡散したけど、三日後に匿名のたれ込みが警察にあり、きらくんは無事に保護された。斉木先生の話しでは両親どちらとも病院に一回も姿を見せたことがないみたいだった。
チカさんと国井さんが険しい表情で、テレビに映る瀧田さんを睨み付けていた。
「人の面を被った鬼とはまさに彼のことよ。彼にさえ出会わなければ……」
悔しそうに唇を噛み締めた。
「チカさん、きらくんはどうなるんですか?」
「児童相談所に保護されると思うわ。瀧田が迎えに行けばいいんだけど、彼は妻子よりこっちが大事みたいだし」
「コイツは根っからの悪党だ。信用しないほうがいい」
国井さんの口から海堂さんが雲隠れしたことを知らされたヤスお兄ちゃん。
「シェドに消されたか、もしくはまゆこの毒牙にかかったかだ。前者なら四季はもう命を狙われることはない。後者なら……」
「ヤス、悪い方向に考えるな。なるようにしかならない。二人が並んでいるとまさに美女と野獣だな。まさかヤスにこんな可愛い妹がいたとはな。水臭いぞ。なんでもっと早く言ってくれなかったんだ。俺とお前の仲だろう」
国井さんがニヤリと笑うとヤスさんの肩に腕を回した。
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