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チカさんのダーリン
「あのな国井。チカに焼きもちを妬かれても知らないぞ」
ヤスさんは腕を何とか払おうとしたけどうんともすんとも言わなかった。
「呑むぞ。付き合え」
「は?こんな真っ昼間からか?」
「祝酒だ」
そのままどこかに連れていかれてしまった。しかも、
「ヤスさん、俺もですか?」
「当たり前だ」
彼まで巻き添えを食らうことになってしまった。
弓削さんと柚原さんもいつの間にかいなくなっていた。
「あらやだ。二人きりになっちゃったわね」
クスクスとチカさんが悪戯っぽく笑った。チカさんに彼との馴れ初めを聞かれて、照れながらも出会って一ヶ月あまりでプロポーズされて籍だけ先に入れたと話したら、
「一生に一度きりの、まさしく運命的な出会いだったのね。ロマンチックね。いいなぁ~~」
「あのチカさん、国井さんとはどこで知り会ったんですか?」
「聞きたい?長くなるわよ」
「四季、止めとけ。二時間近く惚気話を延々と聞かされることになるぞ」
いないと思っていた柚原さんがいたからびっくりした。
「積もる話しもあるだろう。心春と円花のことは任せろ。心春、行くぞ」
柚原さんが円花をおんぶ紐でおんぶすると、心春の手を繋ぎ未知さんのところに連れていってくれた。
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