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忽然と消えた子ども
それから十分後。
「卯月大変だ!」
国井さんが慌てた様子で戻ってきた。
「どうした?」
「甲崎からさっき電話があって、今朝方、七歳くらいの男の子が助けてくださいと交番に駆け込んできた。背格好、年齢からして海翔かも知れない」
「場所はどこだ」
卯月さんと国井さんが慌ただしく組事務所へ戻っていった。
「ヤスお兄ちゃん、海翔くんの写真ってありますか?」
「福島を発つ朝会長の自宅で撮影した写真ならあるぞ。なんでまた海翔の写真が見たいんだ?」
「SNSで公開しているかも知れないから。顔は隠せても癖や、身体的特徴、痣とか怪我のあととかは消せないから。ネットに精通している吉村さんならきっと海翔くんを見付けてくれるかなって、そう思ったんです」
「なるほど」
「そうか、その手があったか」
「でも吉村さん忙しい人だから……」
「俺から頼んでみる」
「和真さんお願いします」
「任せておけ」
彼が頭をぽんぽんと撫でてくれた。
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