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消えた乗客の正体
「俺は悪くない。悪いのは海堂の娘だ。あれはまわりを不幸にする。疫病神なんだよ。生まれて来なければ良かったんだ」
槇島さんの言葉が胸にぐさりと突き刺さった。
「反論出来ないだろう。本当のことだもんな」
槇島さんがゲラゲラと馬鹿にするように笑い出した。
「国井、甲崎。カシラの挑発に乗るなよ。サツを続けたきゃ絶対に手を出すなよ」
それまで一言も発せずことの成り行きを見守っていた渋川さんがすっと立ち上がった。
「俺はそうは思わない。そのうちファンクラブが出来るくらい、朝宮四季はみんなに好かれているぞ。卯月のカミさん同様みんなを笑顔にして幸せにする女神さまだ。性格が卯月にそっくりの旦那と強くてかっけぇー兄ちゃんが二人もいる。それに最強の弾よけの蜂谷と青空も四季を心底好いている」
渋川さんが指をぽきぽきと鳴らしながら槙島さんにゆっくりと近付いた。
「なんで俺がヤクザになったか覚えているか?」
「さぁな。忘れた」
「だろうな。聞くだけ無駄だったな」
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