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消えた乗客の正体
「僕のこそありがとう」
堰を切ったかのように目から涙が次から次に溢れた。
「これからもずっと三人一緒だな」
「いや、八人だ」
「俺たちを忘れては困る」
「それにオヤジと結と十矢を混ぜてやらないと臍を曲げられるぞ」
蜂谷さんと青空さんがクスリと笑った。
「すみません卯月さん。決して忘れていた訳じゃないんです」
彼が慌てて頭を下げると、
「いちいちそんなことで目くじらを立てるような俺じゃない。渋川の言葉にも一理ある。この際だ。ファンクラブを立ち上げたらどうだ?」
「はい。そうします」
「和真、それは兄である俺とヤスさんの役目だ。横取りするな」
「そうだぞ和真」
「ごめん。それもそうだよな」
彼もヤスお兄ちゃんもコオお兄ちゃんもすごく楽しそうに笑っていた。
何気ない日常がこんなにも愛おしいとは。
鼻をずずっと啜りながらいつの間にか僕も笑っていた。
母さん、生んでくれてありがとう。
父さん、母さんと僕を守ってくれてありがとう。自分を卑下せず、真っ直ぐ前を向いて大切な人たちとともに生きていきます。
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