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決別
「ただいま」
彼がかばんを脇に抱えて息を切らしながら帰ってきた。
「お帰りなさい」
「ヤスさんから海堂に会ったと聞いて生きた心地がしなかった。良かった無事で……」
胸に手を当ててほっとして胸を撫で下ろした。
「度会さんと紫さんが助けてくれたの」
「海堂は菩薩様の大姐を本気で怒らせた。海堂は、信者家族に取り囲まれ、揉みくちゃにされていた。自業自得だな」
「ヤスさん、四季はこれからも命を狙われるのですか?」
「海堂はそう簡単には四季と凛を諦めないだろうな。それに海堂に恨みを持つ者は多い。敵も多い。海堂が生きている限りは命を狙われ続けるかも知れない」
「案ずるな。俺の姐さん同様、俺とハチの四季にも指一本触れさせない」
青空さんがアイスを美味しそうに頬張りながら、任せろと言わんばかりににかっと微笑んだ。
「青空さんと蜂谷さんがいてくれれば鬼に金棒です。これからも四季と子どもたちをお願いします」
彼が頭を下げた。
「堅苦しい挨拶は止せ。それよりもみんなで菱沼金融に移動するぞ」
「菱沼金融ですか?」
いまいち分かっていない彼を蜂谷さんと青空さんが連れ出した。
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