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サプライズ

「今日が四季の誕生日だと知っててこれを送り付けてくるとはな。嫌がらせもここまでくると悪意としか感じないな」 菱沼金融のポストに一枚の葉書が入っていた。今日は日曜日。消印が押されていなかった。いつ、誰が投函したのか、夜になるまで誰も気付かなかった。 白いタキシードを着たシェドの隣で満面の笑みを浮かべるキヨちゃん。赤いウェディングドレスを着ていた。 入院していたN総合病院から忽然と姿を消して以降キヨちゃんは消息不明になっていた。 「これ見よがしに幸せアピールをしなくてもいいのにな。結婚式を挙げる前にやることがあるだろうに」 ヤスお兄ちゃんがあきれ顔でため息をついた。 「聡太くんのことはもうどうでもいいのかな?」 葉書に目を落とした。 疫病神さん、わたしのほうがあなたよりも何倍も幸せよ。見慣れたキヨちゃんの丸っこい字でそう書かれてあった。 「お腹を痛めて生んだ子なのに……人づてに聞いた話しではかなりの難産だったみたいだよ。橋本さんは産まれたばかりの聡太くんを抱き締めて泣いていたって。今となってはまわりの目を欺くための演技だったのかも。そう思うとやるせなくなる。四季、橋本さんをぎゃふんと言わせるくらい俺たちも幸せになろう」 「そうだ。橋本の味方はシェドだけだ。四季の味方は大勢いる。昇龍会を舐めんなよ」 不安な思いを一掃するかのように彼とヤスお兄ちゃんが明るい笑顔を見せてくれた。

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