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兄ちゃんってもう隠す必要はないから
「四季の兄ちゃんだって、もう隠す必要はないからな。気分爽快だ」
ヤスお兄ちゃんの表情は晴れ晴れとしていた。
「四季、大きなお世話かも知れないが、何事も最初が肝心だ。構ってちゃんで、べたべたとすぐにねっぱってくる暑苦しい兄ちゃんほど面倒くさいものはないぞ。今ならまだ間に合う」
蜂谷さんが唐揚げを頬張った。
「それひどくないか?」
「本当のことを言ったまでだ。なにが悪い?」
しれっとして答える蜂谷さん。
青空さんと鞠家さんがうん、うんと大きく頷いていた。
「まぁ、しつこくし過ぎてせいぜい嫌われないようにしろよ」
「忠告、ありがたく受け取っておくよ。でもハチ、これだけは言わせてくれ。この年でまさか年の離れた弟がいるとはこれっぽっちも思わなかったから。すごく嬉しくて、浮かれずにはいられないんだよ」
ヤスお兄ちゃんも唐揚げを頬張った。
「それにしても副島夫婦遅いな」
「オヤジと立ち話しでもしているんだろう」
コオお兄ちゃんと昴さんの噂をしていたら、
「遅くなって悪い」
卯月さんと三人仲良く菱沼金融に入ってきた。
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