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もう一組の主役

箱を開けるとグレーのマフラーが二つ入っていた。ざっくりとしたニット地でとても暖かそうだった。 「お揃いのマフラーだ。何か照れるね」 昴さんが頬を赤く染めた。 「卯月さん、ありがとうございます。大切にします」 「新婚なんだ。まわりの目は気にするな。幸せになるんだぞ。俺で良ければなんでも相談に乗ってやる」 昴さんは征之おじさんの養子になり、それまで名乗っていた斎藤姓から副島姓に変わった。 「斎藤と吉村もようやく同棲をはじめたことだし、残るは結と十矢か。和真、副島、十矢が戻ってきたらみんなで記念に写真を撮ろう。再スタートを切るのに遅いも早いもない」 「卯月さん、何から何までありがとうございます」 彼とコオお兄ちゃんの声が見事にハモった。 「礼はいらないっていつも言ってるだろう。背中が痒くなるんだ」 昴さんはコンビニエンスストアでアルバイトをしていたけど、菱沼組の幹部である縣信孝さんが経営する人材派遣会社で社員として働くことが正式に決まった。

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