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もう一組の主役
「ヤスさんは好きな人いないんですか?」
「昴、聞くだけ無駄だ」
「なんで?」
「ヤスさんも自他ともに認めるシスコンだからだ。四季しか眼中にない」
「副島、よく分かっているじゃないか。でも由緒ある度会家を俺の代で終わらせる訳にもいかないから、そろそろ重い腰をあげて嫁を見付けるかなって思っている。度会さんと紫さんだって孫の顔が見たいだろうし。プレッシャーが半端ない」
ヤスお兄ちゃんが軽くため息をついた。
「焦って結婚を急ぐと、まゆこや橋本みたいな女に捕まるぞ。あ、そうだ」
卯月さんが何かひらめいたみたいだった。
「この際だ。弓削と一緒になったらどうだ?気心も知れているし、なかなかお似合いだと思うぞ」
冗談を言っているとは思えないくらい卯月さんの真剣な表情にヤスお兄ちゃんがしばらくの間固まっていた。
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