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最後にありがとうと伝えたい

「あとは十矢が帰ってくるだけだな」 「そうですね」 彼の表情は浮かなかった。 「そんな顔をするな。待てど暮らせど待ち人が来なければこっちから押し掛ければいいだけのことだ。紬ももうじき四ヶ月だ。首も座るし、そうすれば抱っこもおんぶも出来る。上京する際は度会さんと紫さんが結と紬に付き添ってくれるから鬼に金棒だ。娘の顔を見たら故郷で帰りを待つ弟にも会いたくなるはずだ。だから気を落とさず十矢を信じて待とう」 卯月さんに励まされ、彼の表情がだいぶ和らいだ。 「直矢と遥にこれから会うんだったな。悪いな、引き留めたりして」 「卯月さん、直矢さんと遥さんってその……」 「直矢とは年も近いし人見知りの四季でもすぐに仲良くなれる。めんどくさいが口癖だが根は真面目で優しい。遥はちょっと天然なところと抜けているところがあるが、人あたりもよく部下の面倒見もいいから、みんなから慕われている」 卯月さんが昴さんをちらっと見ると、 「信孝と遥の人柄の良さはこの俺が保証する。頑張れ!」 力強く背中を押してくれた。

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