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直矢さんと遥さん

「タマと尊が帰ってきても俺たちは何ら変わらない。青空、タマがお前に会いたがっていた。俺だって会ってもらいたいし、仲良くしてもらいたい」 「俺だってハチの彼氏と会いたいし、仲良くしたい」 「それならそうやってすぐブスくれるな」 蜂谷さんが青空さんの頭をぽんぽんと撫でようとすると、 「止せ、俺は子どもじゃないぞ」 手で払おうとした。 「本当は撫でてもらいたい癖に」 「う、五月蝿いな」 図星だったのか、痛いところをつかれグーの音も出ない青空さん。それからは抵抗せず大人しく頭を撫でてもらっていた。二人の仲の良さは相変わらずだ。 「ヤス、悪い知らせはなんだ?」 「これ見よがしにイチャつくお前らに呆れて、何を言うか忘れた」 「は?」 「思い出したら言う。配達があるから、じゃあ、またな」 ヤスお兄ちゃんが菱沼金融を出ていこうとしたらドンと鈍い音がして、同時に「いてーな。どこ見てんだ」ヤスお兄ちゃんの苛立った声が聞こえてきた。

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