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ヤスお兄ちゃんおめでとう!

「ゆげさん、こっち」 遥香ちゃんと心春が弓削さんの手を握り、 「ヤスさんこっちこっち」 一太くんがヤスお兄ちゃんの手を握ると、佐治さんがドアを開けてくれた。 「どこに行くんだ?」 「ここ、せまいからひろいとこ」 「広いとこ?」 「パパもなお兄ちゃんたちもみんなこっちだよ。しきさんはゆっくりでいいよ」 コオお兄ちゃんたちと直矢くんたちが一太くんの後ろに付いていった。お腹が重いから僕はゆっくりとハンドリムをこいで彼と一緒に最後尾を移動した。 菱沼金融を出ると、大勢の構成員の皆さんが待ち構えていた。外にも入れきれなかった若い衆が大勢いた。強面で屈強の男たちが一堂に会し、迫力が半端なかった。思わずバックしようとしたら、 「四季さんが怖がってるから、みんな笑ってください」 未知さんの声が聞こえてきて。どきっとして振り返ると陽葵ちゃんをおんぶした未知さんと目が合うとにっこりと優しく微笑んでくれた。

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