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ヤスお兄ちゃんおめでとう!

「弓削、俺の前ではなく未知と四季の前でプロポーズしろ。ヤスを幸せにすると誓え」 「ここでですか?」 「当たり前だ。未知、四季、証人になってくれ」 卯月さんにいきなりそう言われどきっとした。 「緊張するよね。僕も緊張しているから大丈夫だよ」 未知さんが気遣って声を掛けてくれた。 弓削さんが爽やかな笑顔でヤスお兄ちゃんの前に立った。ヤスお兄ちゃんも身長が高いけど、弓削さんのほうが一回りも大きかった。この背中に菱沼組を背負い、ヤスお兄ちゃんと柚原さん。それに行き場を失い夜の町をさまよっていた家出少年たちを拾ってきては面倒をみて一人前のヤクザに育て上げた弓削さん。広くて大きな背中は未知さんや子どもたちを守るため傷だらけだと卯月さんから聞いたことがある。ヤスお兄ちゃんも弓削さんも菱沼組の屋台骨だ。二人がいなかったらとうの昔に菱沼組は解散していたと度会さんもそんなことを話していた。 「俺まだ気持ちの整理が……白紙に戻そう。今ならまだ間に合うだろう。こんな茶番。俺なんかより弓削にはもっとふさわしい人がいるだろう」 ヤスお兄ちゃんが困惑したような目で弓削さんを見つめた。

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