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二ヶ月後

「和真さん、あのね」 聞くのが怖かったけど、南先生と永原先生が無事なのかそれをどうしても確かめたかった。 「みんな無事だよ」 不安を一掃するかのように優しく微笑んでくれた。 「良かった」 大きく息を吐きだして心臓の位置に手のひらを押し付けた。 遡ること一時間前。ノンストレステストという三十分くらい横になった状態で胎児の心音と子宮収縮を記録する検査を受けていたとき、女性が刃物を振り回しながら病院に乱入してきたのだ。私の赤ちゃんを返して!人殺し!髪を振り乱し喚き散らすその女性は瀧田さんの奥さんだった。 逃げ遅れた患者を庇い刺されそうになった南先生を青空さんが助け、蜂谷さんが女性から刃物を取り上げた。 僕が見たのはそこまで。気付いたときには救急車のなかにいてN総合病院に移送されていた。 「子どもたちを不安にさせてはいかないからヤスさんたちに頼んできた。ついさっき無事に家に着いたと連絡があった。一太くんと遥香ちゃんが心春と円花の面倒をみているから心配無用だって。朝腰のまわりが痛いって言っていたよね。まだ痛い?」 「うん。それとお腹が頻繁に張るようになったの」 「こういうとき男って何も出来ないんだよな。わたわたするだけで。俺たちの母さんもこんな大変な思いをして産んでくれたと思うと、やっぱり母親は偉大だね」 彼が腰のまわりを擦ってくれた。

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