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本当の恐怖
「ギャァァーー!」
「でたぁーー!」
彼とコオお兄ちゃんの叫び声に驚いて起きようとしたら、
「弓削がいるから心配ない。まだ寝てろ」
ヤスお兄ちゃんに止められた。
「おっさん幽霊も大変だな。わざわざこっちまで来なくてはならないんだから」
「明日は我が身だ。身につまされる想いだ」
「俺らのオヤジはそんなことはしない。誰一人見捨てない。そもそも器が違う」
うんうんとヤスお兄ちゃんが大きく二回頷いた。
「あの~~ヤスお兄ちゃん、蜂谷さん、幽霊の正体が誰か分かったんですか?」
「いや、正確には分からない」
「でも一つだけ言えるのは、おっさん幽霊を騙った罰当たりな連中がいるということだ」
青空さんは微動だにせず険しい表情でドアの隙間から外の様子を伺っていた。
「人を驚かせて何が楽しんだか。俺には理解出来ない」
「はた迷惑な連中にはそのうち天罰が下りる」
蜂谷さんが青空さんの肩をぽんぽんと撫でた。
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