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本当の恐怖
ドアを少しだけ開けてすぐに閉める青空さん。んぎゃーーっ!喚き叫ぶ声が聞こえてきたのち、ドンと強くドアを蹴られた。
「ずいぶんとまぁ甘く見られたものだ」
「この声、どっかで聞いたことがある」
「何だハチもそう思ったか。やっぱり俺たち相思相愛だな」
「それを言うなら以心伝心だ」
「そうなのか?はじめて知ったぞ」
「はじめてって……知っている癖にすっとぼけるな」
ドアががたがたと不気味な音を立てはじめた。
「何としてでもこじ開けるつもりだな。そうはさせない」
ヤスお兄ちゃんが拳を握りファイティングポーズを取ると、
「新婚さんは下がってろ。四季の側にいてやれ」
青空さんがヤスお兄ちゃんを止めると、ぽきぽきと指の関節を鳴らしながらドアにゆっくりと近付いた。
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