316 / 431

本当の恐怖

ドアを少しだけ開けてすぐに閉める青空さん。んぎゃーーっ!喚き叫ぶ声が聞こえてきたのち、ドンと強くドアを蹴られた。 「ずいぶんとまぁ甘く見られたものだ」 「この声、どっかで聞いたことがある」 「何だハチもそう思ったか。やっぱり俺たち相思相愛だな」 「それを言うなら以心伝心だ」 「そうなのか?はじめて知ったぞ」 「はじめてって……知っている癖にすっとぼけるな」 ドアががたがたと不気味な音を立てはじめた。 「何としてでもこじ開けるつもりだな。そうはさせない」 ヤスお兄ちゃんが拳を握りファイティングポーズを取ると、 「新婚さんは下がってろ。四季の側にいてやれ」 青空さんがヤスお兄ちゃんを止めると、ぽきぽきと指の関節を鳴らしながらドアにゆっくりと近付いた。

ともだちにシェアしよう!