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本当の恐怖
「なんだ生きていたのか?てっきり死んだものだと思っていたぞ」
殴り掛かろうとした男の拳を青空さんががしっと掴んだ。
「イテテ、何すんだてめぇー!」
「それは俺の台詞だ。物騒なものを持ってうろうろするな」
「うるせーー!」
男の怒鳴り声に、それまで静まり返っていた病棟がざわつき出した。
「誰か、警察を呼べ!男が杖を振り回している」
青空さんが声を張り上げた。
「俺は海堂の娘に用がある」
「どんな野暮用だよ」
「どけ!」
男が青空さんの手を振り払うと、病室の中に入って来ようとした。
「どかねえよ。俺とハチの大事な四季を暗殺しようと企てている不逞なヤロウがいると噂で聞いた。まさかだと思うがお前のことか?幽霊を騙って。本家本元に祟られるぞ」
「お前みたいな雑魚には用はない」
彼とヤスお兄ちゃんが盾になってくれて。だから男の顔は見えなかった。
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