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みんなが待ち望んでいた新しい命の誕生

「石山は呑気に県内の秘湯巡りをしているみたいだ。日本人になりすまし、保険証とパスポートを偽造し、密入国を繰り返している。天知る地知る我知る人知るという言葉があるくらいだから、いつか悪事は露見する。うすらかすらして遊んでいられるのも今のうちだ」 スマホの画面に目を落とす弓削さん。 「しかしまぁ、芫も見ないうちにずいぶんと変わったな。まるで別人みたいだ。一気に老けたと思わないか?」 「髪の色のせいだろう。なんでまた目立つ銀髪にしたんだ?」 「さぁな」 「人の上に立ち、組織を纏めるのは並大抵のことではないし、一朝一夕にはいかない。力で押さえつけ支配しても、それに反動する者がいつか現れ、綻びが生まれる。石山も上田も俺らのオヤジと姐さんを少しは見習ったほうがいい」 ヤスお兄ちゃんと弓削さんがそんな話しをしていたら、「でかくしてくれ」と青空さんが割り込んだ。

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