328 / 431
みんなが待ち望んだ新しい命の誕生
「でかくしてくれっていきなしそだごと言われてもな。無理だべ」
「俺が言ってるのはそのことじゃない。写真だ」
「写真?」
青空さんがSNSで公開している写真のうちの一枚を指差した。それは足湯に浸かる石山さんを写した写真だった。観光客と地元の人かな?楽しそうに談笑していた。
「秦さんとここに行ったことがある。石山の隣にいる男は饅頭屋の店主だ。端に手だけ写っているのはラーメン屋の店主だ」
「青空の記憶力はすごいな」
「秦さんと温泉街で食べ歩きしたからな。なかなか旨かったぞ。ラーメン屋の店主はよそからの移住者だと話していたな。よくよく見ると腕に刺青を消した痕があった。目付きといい元ヤクザじゃないかと秦さんが話していたな」
「それはいつのことだ?」
「えっといつだっけな」
青空さんが腕を前で組んでうんうん唸っていた。
「十月の連休に秦さんと旅行に行った時じゃないか?」
「そうだ。さすがは俺のハチだ。喉の骨が取れた」
「それは良かった」
蜂谷さんもスマホを取り出し何やら操作をはじめた。
ともだちにシェアしよう!