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みんなが待ち望んだ新しい命の誕生

「でかくしてくれっていきなしそだごと言われてもな。無理だべ」 「俺が言ってるのはそのことじゃない。写真だ」 「写真?」 青空さんがSNSで公開している写真のうちの一枚を指差した。それは足湯に浸かる石山さんを写した写真だった。観光客と地元の人かな?楽しそうに談笑していた。 「秦さんとここに行ったことがある。石山の隣にいる男は饅頭屋の店主だ。端に手だけ写っているのはラーメン屋の店主だ」 「青空の記憶力はすごいな」 「秦さんと温泉街で食べ歩きしたからな。なかなか旨かったぞ。ラーメン屋の店主はよそからの移住者だと話していたな。よくよく見ると腕に刺青を消した痕があった。目付きといい元ヤクザじゃないかと秦さんが話していたな」 「それはいつのことだ?」 「えっといつだっけな」 青空さんが腕を前で組んでうんうん唸っていた。 「十月の連休に秦さんと旅行に行った時じゃないか?」 「そうだ。さすがは俺のハチだ。喉の骨が取れた」 「それは良かった」 蜂谷さんもスマホを取り出し何やら操作をはじめた。

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